不動産の買取相場は、不動産市場で取引される価格の約6割~8割といえます。
この記事では、なぜ不動産の買取相場が安くなるのか・どのような要素が買取相場を左右するのかを解説していきます。
家の売却相場について知りたい方は、「【家の売却相場】75ヶ月分の売却相場を分析!築年数と相場の関係も解説」の記事をご覧ください。
不動産買取の相場価格を解説!
不動産買取における相場価格がいくらなのか、実際の算出例も含めてご説明していきます。
買取における相場価格や市場価格、仲介の相場との違いもあわせて確認していきましょう。
不動産の買取相場の目安
タイトルにもある通り、不動産買取相場は市場価格の6~8割になります。
不動産の取引市場における価格は、需要と供給のバランスによって変わります。これを相場といいます。
一方で市場価格とは実際に不動産が取引される際の価格を指します。仲介で個人と個人が不動産取引をする場合は、だいたいその時点の相場価格に基づいて取引が行われます。ただ、相場を参考に売り出し価格が設定されますが、売り出し価格がそのまま市場価格になるわけではありません。
しかし、買取と比べても仲介では基本的に相場と売却価格が大きく異なることはありません。
不動産の買取相場の算出例
実際に、市場価格をもとに買取相場を計算してみましょう。
ここでは、仲介で売却したときの市場価格が3,500万円の場合、買取相場の60%~80%を掛け合わせると、不動産会社による買取価格は2,100~2,800万円になります。
つまり、仲介での売却価格と買取価格では単純計算しても700~1,400万円の差があることになります。
同じ不動産を売却した場合でも、売却方法の違いにより売却価格がここまで大きくなることが分かります。
不動産買取相場が仲介より安い理由
それではなぜ、不動産買取相場が仲介よりも安くなるのでしょうか。
仲介と買取の仕組みに触れながら、以下4つの理由をそれぞれ確認していきましょう。
- 買取業者がかける費用が多いから
- 再販して売れ残るリスクがあるから
- 買取業者の数が少ないから
- 仲介に比べて状態が悪い物件が多いから
買取業者がかける費用が多いから
買取後に買取業者がかける費用が多いことも仲介より買取相場が安い理由の1つです。
仲介の場合、不動産会社は基本的に買い手を探すための広告宣伝費しかかけずに利益を得ることが出来ますが、買取では利益を得るために仲介より余分に多くの費用をかける必要があります。
具体的には、リフォーム費用やクリーニング費用など、不動産が売れる状態にするために費用をかける必要があります。
リフォーム費用などは少なくとも数十万円ほどもかかるため高額になります。加えて販売するときには、仲介と同じく広告宣伝費をかける必要があります。
反対に、本来仲介で売る場合は売主が支払っていたであろう費用を業者側が支払っているため、その費用の分は少なくとも仲介よりも安くなっていることが分かると思います。
再販して売れ残るリスクがあるから
不動産を再販しても売れ残ってしまうリスクがあることも仲介より買取相場が安い理由の1つです。
再販とは、買い取った物件にリフォームやリノベーションして付加価値を加えて再び売り出すことです。先ほどご説明した通り、買い取った不動産に大きな費用をかけ、手間をかけても不動産を売却することが出来なかったら利益が出ません。
また、業者が買い取った価格よりも高く売れたとしても、リフォームやリノベーションでかけた費用や人件費などを考えると、売れ残ったからといって値下げをしては利益が出ないのです。
そのため、業者がある程度の利益を出すためにも仲介よりも買取相場が安くなっています。
買取業者の数が少ないから
不動産買取業務を行っている業者の数が少ないことも仲介より買取相場が安い理由の1つです。
ご説明した通り、買取業者は買い取った後手を加えて再販することを前提として不動産を買い取ります。また、不動産が売れ残る可能性もあります。
つまり、買い取った手を加えるだけの費用負担が出来、かつ不動産が売れ残っても買取業務を続けられるだけの資金力が必要になります。そして、不動産買取を通じて利益を出すだけのノウハウが必要になります。
そのため、買取業務が出来る業者の数は限られています。業者の数が少ないということは、買取業者間の競争力は弱まりやすいです。
ということは、業者数が多い仲介と比べても個人よりも業者側が力を持ちやすく、買取価格に反映されるのです。
仲介に比べて状態が悪い物件が多いから
仲介で売却される物件と比較して、買取の対象になる物件の状態が悪いことも買取相場が安い理由の1つです。
長期間空き家として放置されていたり築年数が古いといった不動産は、一般的に売り出しても買い手がつきにくいのが現状です。しかし、不動産会社による買取の場合、状態が悪い物件でも買い取ってもらえるケースがほとんどです。
状態が悪い物件でもある程度の価格はつくものの、不動産会社が再販しても売れ残る可能性は否定できません。そのため、状態が悪い物件を買い取ることは不動産会社にとってリスクが高いといえます。
リスクが高い物件は、その分買取価格も安くなる傾向にあります。
よって、不動産会社が買い取る物件は状態が悪いケースが多いことから、仲介よりも相場が安いと考えられています。
不動産買取相場を左右する要素
ここまでで、仲介と比較した場合の買取相場を把握することが出来たと思います。
ただ、実は買取相場は不動産があるエリアと築年数によって大きく左右されます。
エリアの需要が高いか
不動産があるエリアの需要が高いほど買取相場が高くなります。
基本的に地方よりも都市部が高くなります。また、同じ都市部でも近畿圏よりも首都圏の方が需要が高くなるため、買取価格が高くなります。
住友不動産販売が発表している2019年度の不動産流通市場動向のデータを基に、首都圏と近畿圏でエリアの相場の差を確認してみましょう。(※成約価格に7割をかけて価格を算出しています。)
ここでは、不動産の種類別にエリアごとの買取価格を比較してみましょう。
エリア | マンション | 一戸建て | 土地 |
首都圏 | 2355万円 | 2192万円 | 2048万円 |
近畿圏 | 1603万円 | 1502万円 | 1327万円 |
築年数が古くないか
基本的に不動産の築年数が古ければ古いほど買取相場は安くなります。
以下の図は国土交通省が発表している築年数経過に伴う資産価値低下のグラフです。
(出典:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」)
中古マンションは、築年数が経過するとともに一定の割合ずつ相場が下がります。築25年で新築時の50%、築35年で30%が相場であることが分かります。
一戸建ては、築15年までに一気に資産価値が落下し新築時の約20%になり、築15年を過ぎたあたりでゆるやかに下がっていきます。
ただ、築年数は建物に関わる要素であるため、土地は年数が経過しても資産価値に影響はありません。
しかし、地盤が悪く活用しにくい形状の土地の場合、買取価格の相場は大きく下がる可能性はあります。
不動産買取相場を調べる方法
仲介と買取の相場は数百万円、場合によってはそれ以上の差が生じます。不動産会社による買取で懸念されるのは、想像していたよりも安い価格での売却になる可能性です。
このような事態を防ぐために、不動産会社に買取を検討したときに自分で価格相場を調べておくことが大切です。
買取相場を調べる方法は以下の2つです。
- 土地総合情報システムで過去事例を見る
- 一括査定サイトで買取の査定依頼をする
土地総合情報システムで過去事例を見る
買取価格を調べるには、国土交通省が運営する土地総合情報システムで過去の取引事例を確認しましょう。
土地総合情報システムは物件の売り出し価格ではなく、過去に実際に取引された価格が掲載されています。買取価格の相場を調べるときには、買取を予定している不動産とエリアや間取りが似た物件を探すようにしましょう。
ただ、取引価格が仲介か買取かは判断することが出来ないため、取引価格に60%~80%を掛け合わせておおまかな買取価格を算出する必要があります。
ざっくりと不動産の買取価格を知りたい方はこの方法でよいでしょう。一戸建て・中古マンション・土地の過去事例を見ることが出来ます。
一括査定サイトで買取の査定依頼をする
一括査定サイトとは、物件種別やエリアといった少ない情報の入力で複数の不動産会社に無料で査定を依頼できるサービスです。
買取を依頼する不動産会社は、最初から1社に絞るのはおすすめできません。なぜなら、不動産会社によって提示する査定額が異なるからです。一括査定サービスを利用すると複数社から提示された査定額を比較し、高い買取価格を提示している不動産会社が分かります。
特に買取を検討している方は必ず一括査定サイトを使いましょう。仲介の場合の査定価格と異なり、買取における査定価格=買取価格になるためです。
インターネット上には数多くの一括査定サービスが存在しますが、その中でも「イエウール」の利用がおすすめです。イエウールは1,600社以上の不動産会社と提携しており、全国各地に対応しています。
提携する不動産会社は独自の審査基準を満たしているため、悪徳業者とは提携していないので安心して利用できます。
不動産売却なら一括査定サイトがおすすめ
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相場を把握して不動産買取を成功させよう
不動産会社による買取は、仲介手数料が発生しなかったり早く売却できるといった多くのメリットがあります。一方で、仲介よりも相場が安かったり買取価格に希望が考慮されないといったデメリットもあります。
場合によっては買取では損をする可能性があるため、仲介を選択した方がよいでしょう。ここで、不動産会社による買取が向いている人を振り返っておきましょう。
- 実家を相続することになった人
- とにかく早く現金が必要な人
- 仲介を依頼してから長期間売れていない人
メリットやデメリットを考慮した上で不動産会社による買取が向いていると判断した場合は、買取を依頼する前にまずは相場を調べることからスタートしましょう。
もっと詳しく知りたい方は、 「不動産買取チラシを信じてもよい?投函理由やルールを紹介」 の記事をご覧ください。
また、「不動産買取の流れまとめ!手続きや事前準備も解説」という記事や、 「不動産買取のメリット・デメリットを仲介と比較しながら解説」 という記事もご覧ください。
他にも以下の記事をご参考にしてみてください。
- 「どの不動産買取業者がおすすめ?信頼できる不動産会社の選び方とは」
- 「信頼できる不動産買取業者を選ぶポイントと注意点など実績を確認」
- 「不動産買取における営業担当者の見極め方や注意点を解説」
- 「不動産買取価格の目安や価格の決まり方を解説」
- 「不動産買取の流れまとめ!手続きや事前準備も解説」