ワンルームマンションを少しでも高く売りたいと考えるなら、売却時にさまざまなポイントを意識する必要があります。売却成功のためには、売り出すタイミングや売却の方法など、考えておきたいポイントは多数あります。
事前に知識を身につけ、物件に合った方法で売却することが売却成功のポイントです。この記事では、ワンルームマンション売却の流れと、好条件で売るコツや売却の際の注意点について紹介します。
ワンルームマンションを売却すべきタイミング
ワンルームマンションの売却を考えているなら、いつが売り時なのかを知っておきましょう。売却に適したタイミングとしては、次の4つがあげられます。
- 住宅ローンを完済したとき
- 転勤などで住み替えが必要なとき
- 1~3月などマンション需要が伸びるとき
- 所有期間が5年を超えたとき
これらのタイミングで売ることで、売却の成功を目指しやすくなります。
タイミング1:住宅ローンを完済したとき
住宅ローンを組んでワンルームマンションを購入していたなら、ローン完済のタイミングが売却に適したタイミングといえます。ローンを完済すると、マンションにかけられた抵当権を抹消することができ、自由に売却できます。
ローンが残った状態では基本的に売却ができないので、完済したタイミングは売り時として適しているでしょう。もちろん、ローンが残っていても、売却価格で完済できる場合や、自己資金を使って一括返済できる場合でも、売却はできます。
しかし、ローンを完済しているほうが、売却価格がそのまま住み替え資金として使えるので、余裕を持って資金計画を立てやすいです。また、新たにローンを組む場合も、ローン残債がないほうが審査に通りやすく、その後の返済でも楽になりやすいです。
ワンルームマンションの場合は、ローンを完済した後でも共益費や管理費、修繕積立費などがかかります。戸建てに住み替えることで、マンション管理にかかる費用はかからないので、コストの削減を目的に住み替えを検討してもよいでしょう。
タイミング2:転勤などで住み替えが必要なとき
転勤などのライフスタイルの変化によって住み替えが必要なときも、売却すべきタイミングの1つといえます。転勤で家が不要になった場合に所有し続けていると、その間もコストがかかるので、売却して維持費を削減することがおすすめです。
また、ライフスタイルの変化としては、結婚や出産によって家族が増えることが考えられます。夫婦ふたりならワンルームマンションでも問題なく暮らせていても、家族が増えると手狭に感じてしまうでしょう。住む人数が増えてより広い生活空間が必要になった場合も、売却して住み替えがおすすめのタイミングといえます。
タイミング3:1~3月などマンション需要が伸びるとき
そもそもワンルームマンションを売却しようと考えているなら、需要が伸びやすい1~3月を狙って売り出すことがおすすめです。1~3月は新生活に向けてマンション需要が伸びやすく、ワンルームマンションも例外ではありません。
特に単身者向けのワンルームマンションなら、新社会人や転勤のある人、学生などの需要を獲得しやすくなります。マンション需要が高まることで、賃貸経営を始めたいと考える人も多く、投資家に売却する場合も、この時期がおすすめといえます。
ワンルームマンションは不動産投資の中では比較的安価であり、手を出しやすい投資商品です。そのため、時期を見定めて売却することで、通常よりも高値で売れたり、スムーズに売却が決まったりすることもあるでしょう。
新生活で住居が必要な人はもちろん、マンション投資をしたい人も売却の対象になるので、1年のうちでもっとも需要が伸びやすい1~3月は、売却に適したタイミングといえます。
タイミング4:所有期間が5年を超えたとき
ワンルームマンションの所有期間が5年を超えたときも、売却に適したタイミングです。不動産を売却して利益が出ると、所有期間に応じた税率がかけられ、所得税と住民税が課税されます。所有してから5年以上だと、長期譲渡所得となり、税率が安いので、利益が出た場合でも税負担を抑えられます。
所有期間が5年以下のものは短期譲渡所得であり、それぞれの税率は次の通りです。
所有期間 | 所得税(復興特別所得税を含む) | 住民税 |
短期譲渡所得 | 30.63% | 9% |
長期譲渡所得 | 15.315% | 5% |
所有期間によっては、課税率が倍近く違うので、少しでも税負担を抑えたいなら5年を超えてから売却したほうがよいでしょう。所有期間は売却した年の1月1日時点を基準にするため、これには注意が必要です。
例えば2020年の1月10日に購入した物件を2025年内に売却する場合は、短期譲渡所得となり、税率は高くなります。2026年以降に売却するなら、その年の1月1日時点で計算しても5年以上経過しているので、長期譲渡所得として売却できます。
また、これらの税率が関係するのは、あくまで売却によって利益が出た場合のみです。次の式でプラスが出ない場合は、税率に関係なく売却しても構いません。
- 売却価格-売却にかかった費用-不動産の取得費-特別控除
所有期間によるタイミングは売却益が出る場合のみ考慮し、そうでない場合は売りたいときに売っても税負担はかからないでしょう。
ワンルームマンション売却の流れ
ワンルームマンションをスムーズに売るには、売却の全体像を把握しておくことが大切です。売却の大まかな流れは、次の通りです。
- 不動産会社から査定を受ける
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 売却活動を開始する
- 購入希望者と条件の交渉をし契約する
- マンションを引き渡す
これらの順番に売却の手順を進めることで、ワンルームマンションはスムーズに売りやすくなります。
STEP1:不動産会社から査定を受ける
まずは不動産会社から査定を受け、ワンルームマンションがどれくらいで売れそうなのかを把握しておきましょう。相場価格を把握しておかないと、いくらで売れるのかがわからず、住み替えなどの資金計画が立てにくくなります。
もし査定を受けて納得のいく価格での売却が難しそうなら、別の不動産会社の利用を検討するか、売却時期をずらしてみることもおすすめです。
査定には簡易査定と訪問査定の2種類があり、まずは簡易査定を行います。簡易査定はネット上からでき、一括査定サイトのサービスを利用することで、複数社からの査定結果を受け取れます。
簡易査定で気になる不動産会社を見つけたなら、さらに訪問査定を依頼して詳細な査定額を出してもらいましょう。訪問査定をしてもらうには時間がかかり、査定の際には立ち会いも必要です。効率的に査定を受けるなら、簡易査定から訪問査定という流れを守り、ある程度候補を絞り込んだうえで訪問査定を依頼しましょう。
STEP2:不動産会社と媒介契約を結ぶ
査定結果に納得できたなら、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約を結ぶことで仲介業務が開始となり、不動産の売却活動を行ってもらえます。媒介契約には3つの種類があり、それぞれで特徴が異なるので、違いを把握しておきましょう。
項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
複数の宅建業者に依頼し契約できるか | できる | できない | できない |
自分で買い手を見つけて契約できるか | できる | できる | できない |
販売状況の宅建業者から依頼主への報告義務とその頻度 | 報告義務はない | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録義務 | 登録義務はない | 媒介契約から7日以内 | 媒介契約から5日以内 |
契約期間 | 行政指導では3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
一般媒介契約は、複数の不動産会社と契約でき、かつ個人で買主を探して直接売買も可能です。専任媒介契約も個人での直接売買は可能ですが、契約できる不動産会社は1社のみとなります。
専属専任媒介契約はさらに制限が厳しくなり、契約できる不動産会社は1社のみで、個人で買主を見つけた場合でも、不動産会社を通して契約しなければなりません。制限が厳しい分、不動産会社が積極的に売却活動を行ってくれる点がメリットです。
対して一般媒介契約は自由度は高いものの、不動産会社による売却活動があまり行われないこともあります。自分でも買主を探しやすく、すぐに買い手がつくなら一般媒介契約でもよいですが、買い手がつきそうにない物件は、専任媒介契約や専属専任媒介契約がよいでしょう。
ワンルームマンションがあるエリアや家の状態、周辺需要などによって、どの契約にするかを検討する必要があります。契約の自由度と不動産会社の売却活動への積極性のバランスを取りたいなら、専任媒介契約を結ぶとよいでしょう。
STEP3:売却活動を開始する
媒介契約を結ぶと、売却活動が開始となります。売却活動では、広告を打ち出し、購入希望者を募って内覧の対応を行います。広告の内容は不動産会社によって違いますが、自社サイトに物件情報を掲載したり、チラシを作成して配布したりすることが多いです。
また、不動産会社が利用している物件情報のネットワークに登録して、他の不動産会社からの購入申し込みを待つこともあります。
購入希望者が現れたなら、実際に物件を見てもらう内覧を行います。内覧の対応は不動産会社に任せることもできますが、売主の立ち会いも可能です。部屋の様子や周辺環境などを見てもらい、購入するかどうかを決めてもらいます。
STEP4:購入希望者と条件の交渉をし契約する
内覧に来てもらった購入希望者が、物件を買いたいと申し出たなら売却条件の交渉を行います。交渉の際には売却価格や売却時の取り決めなどを決め、双方が合意できる内容で契約書を作成し、契約の締結となります。
不動産取引は売却後にトラブルが起きることもあるので、これを回避するために契約書の内容はきちんと確認し、必要事項はすべて盛り込んでおくことが大切です。売却価格だけではなく、引き渡しの日時や方法、契約破棄になった場合の対応など、詳細まで確認して契約書に盛り込んでおきましょう。
もし購入希望者との交渉が上手くいかなかった場合は、別の購入希望者を探して内覧の対応を行い、契約合意に至るまでのこの流れを繰り返します。
STEP5:マンションを引き渡す
売買契約書で定めたスケジュールで、ワンルームマンションを引き渡します。特別な定めがない場合は、引き渡しは決済日と同日です。決済日までに引っ越しを済ませておき、部屋を空っぽにしておきましょう。
引き渡しの際には、買主から決済を受け、必要なら売却価格によって住宅ローンを完済し、抵当権を抹消します。さらに登記上の所有者を変更するために、所有権移転登記も行う必要があります。これらの手続きが終了し、マンションの鍵を渡して引き渡しの手順は完了です。
ワンルームマンションを少しでも高く売却するコツ
少しでも高値でワンルームマンションを売却するには、次の3つのポイントを押さえましょう。
- 金利が低いときに売る
- 必要に応じてリフォームをする
- インスペクションを実施する
これらのコツを踏まえて売却に臨むことで、より好条件で売却を成功させやすくなります。
コツ1:金利が低いときに売る
金利が下がったタイミングで売ることで、ワンルームマンションは好条件で売却しやすくなります。金利が下がると住宅ローンを組みやすくなり、買主にとっての購入のハードルは下がります。
そのため、多少高値であってもローンを組みやすくなることから、好条件での売却を目指しやすいでしょう。また、投資の側面で考えた場合も、低金利のときに売ったほうが好条件で売却しやすくなります。
ワンルームマンションは金利が下がるとマンションの価格が上がるので、資産価値が向上します。つまり、価値のある投資物件を購入できることから、投資目的で不動産取引をしようと考えている人の需要を獲得でき、よりよい条件で売りやすくなるでしょう。
コツ2:必要に応じてリフォームをする
ワンルームマンションは老朽化していると買主が見つかりにくくなるので、必要に応じてリフォームをしておきましょう。リフォームによって設備の補修をし、老朽化を食い止めることで、買主の購入意欲は高めやすくなります。
同じ築年数でも、まったくメンテナンスをしていない物件とリフォームをした物件では、住みやすさはもちろん、見た目のよさなどにも差が出ます。住みやすく、見た目もきれいなほうが高値で売りやすいので、設備の故障や老朽化が進行しているなら、リフォームをしてきれいな状態に戻しておきましょう。
コツ3:インスペクションを実施する
中古のワンルームマンションの場合は、部屋の状態を詳細まで知りたいと考える人が多く、老朽化している部分がないか、隠れた不具合がないかなどで不安を持つ人は少なくありません。
買主の不安を解消するには、インスペクションを実施して、不動産の状態を明確に伝えられるようにしておきましょう。インスペクションは住宅診断のことであり、建物のプロが第三者の視点から調査を行い、不動産の状態を詳細に記した報告書を作成してくれます。
内覧時にインスペクションの報告書を購入希望者に提示すると、家の詳細な状態を伝えられます。もし老朽化がそれほど進行していない、瑕疵(かし)がないなど良好な状態であるなら、これを理由に高値で売却できることもあるでしょう。
ワンルームマンションを売却するときの注意点
ワンルームマンションの売却を成功させるには、次の4つの注意点を頭に入れておきましょう。
- 競合の売り出し情報を確認する
- 売却時期を考える
- リフォームに費用をかけすぎない
- 売却スケジュールを決めておく
注意点を守って売却に臨むことで、より失敗なくワンルームマンションを売ることができます。
注意1:競合の売り出し情報を確認する
ワンルームマンションは物件数が多く、競合となる物件が同時期に売り出されていることも多いです。競合の物件がある場合は、それらがいくらで売り出されているのかを確認しておきましょう。
ワンルームマンションの売却価格は、競合となる物件の価格によって左右され、競合が安値で売り出されているなら相場は下がり、高値で売られているなら相場は上がる傾向にあります。
つまり、少しでも好条件で売るには競合物件が高く売られているときであり、反対に安値のときは売り出しを控えて相場が上がるタイミングを待ったほうがよいでしょう。
注意2:売却時期を考える
単身者からの需要が多いワンルームマンションは、売却時期を考えることが大切です。新生活に向けて需要が伸びやすい1~3月は比較的売りやすいですが、それ以外の時期では買い手がなかなかつかないことも少なくありません。
1~3月以外で売りやすい時期としては、人事異動が多い9~10月か、異動が発表される7~8月あたりです。この時期を逃してしまうと、売却活動を開始しても売れ残ってしまう場合があります。
ワンルームマンションは売り出すまでに1ヶ月程度かかることも多いので、需要が伸びる時期に売り出しができるように、早めに行動しておきましょう。
注意3:リフォームに費用をかけすぎない
不動産の魅力を高めるにはリフォームがおすすめですが、これに費用をかけすぎると損をする可能性があります。リフォームにかけた費用の全額を、売却価格に上乗せして回収できるわけではありません。
そのため、リフォームの費用が高くなるほど、売却によって得られる利益が少なくなってしまうことは理解しておきましょう。リフォームをするならコストをかけすぎないように注意し、必要最低限の部分のみ行うことがおすすめです。
注意4:売却スケジュールを決めておく
時期によって需要が変動しやすいワンルームマンションは、いつまでに売るのか売却のスケジュールを決めておくことが大切です。売却スケジュールを決めておかないと、いつまでに売れない場合に条件を下げるのかが決められず、ずるずると売れ残ってしまうことがあります。
また、一定期間で売れなかった場合は、仲介から不動産会社による買取に切り替えることも1つの方法です。買取なら不動産会社との交渉だけで売買が成立するので、早いと1週間程度で売却できます。
仲介で売るよりも売却価格が下がるというデメリットはありますが、売却スケジュールによっては買取の利用も検討するとよいでしょう。
ワンルームマンションの売却相場を知る方法
売却前にワンルームマンションの相場価格を調べる方法は、次の3つがあげられます。
- 一括査定を使う
- 不動産会社に直接行く
- マンションシミュレーターを使う
方法ごとの違いを把握して、自分に合ったやり方で相場価格を調べましょう。
方法1:一括査定を使う
複数社から同時に査定を受けられる一括査定のサービスを使うことで、相場価格は効率的に調べられます。査定結果は不動産会社によって違うので、正確に相場価格を把握するには、最低3社以上から査定を受ける必要があります。
一括査定なら、一度物件情報を登録すると、まとめて複数社から査定を受けられるので、手間をかけずに相場価格が調べられるでしょう。
また、一括査定はネットで利用できるので24時間いつでも行えます。さらに無料のサービスなので、時間とコストをかけずに利用できる点もメリットでしょう。
方法2:不動産会社に直接行く
相場価格を知る方法としては、不動産会社に直接出向き、訪問査定の依頼をしたり、営業担当者に相場価格を聞いたりするやり方もあります。専門家の意見を聞いたり、詳細な査定をしてもらったりすることで、相場価格が調べられるでしょう。
ただし、不動産会社に直接行く場合には手間がかかります。また、その営業担当者が持っている情報や、提示される査定の結果が必ずしも正しいとは限りません。正確に相場価格を知るには、複数社から意見を聞き、それぞれを比較することが大切なので、直接不動産会社に行く方法だと手間がかかりやすいでしょう。
方法3:マンションシミュレーターを使う
ネットにはマンションシミュレーターがあり、サイト上にマンションの推定売却価格やローンの残債など、条件を入力することで収支がどれくらいになるのかのシミュレーションができます。
しかし、シミュレーターでわかるのはあくまで概算であり、そもそもいくらくらいで売れるのか、相場価格を入力しなければならないことも多いです。
つまり、マンションシミュレーターだけでは相場価格を判断することは難しく、査定など他の方法で相場価格を調べてから、収支の計算のために用いることが多いでしょう。
まとめ
ワンルームマンションを好条件で売却するには、いつ売るのが適切か、どのように売るとよいのかを考えることが大切です。売却の方法やタイミング次第で、同じ不動産でもいくらで売れるかが違ってくることは少なくありません。
好条件での売却を目指すなら、一括査定サイトで信頼できる不動産会社を見つけることがおすすめです。すまいステップなら一度の登録で最大4社から査定を受けられます。効率的に査定結果の比較ができ、好条件を提示する不動産会社を見つけられるので、売却の成功を目指しやすいでしょう。