不動産鑑定とは?依頼するための流れやかかる費用について解説
更新日:2020年11月17日
所有している不動産の詳細な価値を知る方法として、不動産鑑定があげられます。不動産鑑定を行うことで法的な根拠を持った不動産の価値がわかるため、様々なシーンで不動産の価値を提示しやすくなります。
不動産鑑定を行うには費用がかかるため、どれくらいのコストがかかるのかを知っておくことが大切です。また、鑑定を依頼する際の流れも知り、スムーズに不動産鑑定を利用しましょう。
不動産売却について知りたい方は、 「不動産売却にかかる期間と売却に影響するポイント」 の記事をご覧ください。
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不動産鑑定に関する基礎知識
まずは不動産鑑定とはどのようなものなのか、基礎知識から身につけていきましょう。不動産鑑定についての基本事項を知っておくことで、どのようなサービスなのかが理解できます。
利用することでどのような結果が得られるのか、不動産鑑定の方法や依頼するメリット、デメリットも含めて理解を深めていきましょう。
不動産鑑定とは
不動産の価値を知るために行われる不動産鑑定とは、簡単にいえば不動産鑑定士という有資格者が、不動産の詳細な価値を判断し、評価することです。不動産鑑定の評価は法律によって算出され、これを行うことで対象となる不動産が、経済的にどのような価値を持っているかがわかります。
不動産の価値を知る方法は様々ありますが、そのなかでも不動産鑑定は説得力があり、かつ法的な効力もある点が大きな特徴です。
※もっと詳しく知りたい方は、「不動産鑑定にはどんな法律があるのか|評価の基準となる手法について」という記事もご覧ください。
不動産鑑定のメリット
不動産の価値を算出する方法として不動産鑑定を選ぶメリットとしては、次の2つがあげられます。
- 正確な資産価値の見積もりが取れる
- 遺産分割や財産分与の際に使用できる
有資格者である不動産鑑定士が、法律に従って評価を下すことで、より正確な資産価値の見積もりが取れます。所有している資産にどれくらいの価値があるのか、公的な指標を得たい場合に有効な手段といえるでしょう。
また、不動産鑑定による評価は公的な効力を持つため、遺産分割や財産分与の際に提示する資料としても使用できます。不動産価値は流動的なものですが、不動産鑑定をすることで決定的な価値を提示でき、法的な効力を持った資料として利用できる点が、他の価値算出方法とは異なるポイントです。
不動産鑑定のデメリット
様々なメリットがある不動産鑑定ですが、反対にデメリットもあります。不動産鑑定を行うデメリットとしては、次の2つがあげられます。
- 高額な費用がかかる
- 結果の表示までに時間がかかりやすい
不動産鑑定は依頼する鑑定事務所や対象となる不動産によって費用相場は異なりますが、数十万円程度のコストがかかることは少なくありません。不動産の価値を知る方法は他にもあり、例えば不動産会社による査定の場合は基本的に無料で利用できます。
簡易的な不動産査定と比較すると不動産鑑定のコストは非常に高く、金銭的な負担が大きい点はデメリットといえるでしょう。また、詳細な評価基準にもとづいて調査をし、価値を決定するため、結果がわかるまでに時間がかかりやすいです。
依頼する不動産鑑定士や不動産の状態によって期間は異なりますが、大体10営業日程度の期間がかかることが多いです。不動産の状態や所在地によっては、さらに時間がかかることもあると考えましょう。
簡易的な査定の場合は、依頼した翌日、あるいは当日にも結果がわかるため、これと比較すると不動産鑑定は時間がかかりやすいといえます。
不動産鑑定士の行う不動産鑑定の方法
不動産鑑定で実施される不動産鑑定の方法は3つあり、対象となる不動産の特徴によってどれを用いるかは異なります。
- 原価法
- 取引事例比較法
- 収益還元法
不動産鑑定士はこれらの方法を駆使することで、対象となる不動産の正確な資産価値を算出しています。
再調達原価をベースにして評価額を求める原価法
今ある建物を新築し直し、そこから原価を差し引いて評価額を求めるやり方が原価法です。原価法の計算式は、次の通りです。
不動産価格=再調達原価-原価修正 |
原価修正の要因は様々あり、建物の設備機能などの物理的な要因、さらには経済的な要因も考慮されます。また、原価修正の際には建物に使用されている建材の耐用年数を指標にしたり、実際に物件の状態を観察したりして、詳細な金額を求めます。
耐用年数に基づく方法について
原価修正の際の金額を求める際には、建材ごとの法定耐用年数を参考にします。例えばSRC造やRC造は47年、木造は22年、重量鉄骨は34年と法律で耐用年数が決められています。
築年数が古いものほど、減価償却が終了している計算になるため、古い物件は資産価値が下がっていると考えるとよいでしょう。
観察原価法について
実際に対象となる不動産を訪れ、詳細な状態を見ることで原価修正の金額を算出する方法が、観察原価法です。観察原価法では、次の指標をもとに資産価値の算出を行います。
- 対象となる不動産の維持管理状態
- 設備の機能性
- 近隣環境
これらの指標を複数組み合わせることで、より詳細な資産価値が計算できます。
取引事例を基に資産価格を求める取引事例比較法
過去の取引事例をもとにして、対象となる不動産の資産価値を算出する方法が、取引事例比較法です。取引事例比較法では、過去の取引事例を用いて、対象となる不動産にどれくらいの価値があるのかを判断します。
近隣の物件を参考にすることが多く、比較情報が多い都市部ほど、より正確な価値を導き出しやすいでしょう。また、比較する際には不動産ごとの状態の違いや取引場所の地域性なども考慮します。
将来生み出す利益を予測して求める収益還元法
収益物件や投資物件が将来に生み出す利益を予測し、これをもとに資産価値を算出する方法が収益還元法です。収益還元法は収益が見込める物件に使用される方法であり、居住用物件は対象ではありません。
収益還元法には2つの算出方法があり、それぞれで計算式が異なります。
- 直接還元法
- DCF法
これらの違いを知り、さらに理解を深めていきましょう。
直接還元法について
直接還元法を使用する場合は、次の式で計算をします。
不動産価格=一定期間の純利益÷還元率×100 |
純利益や還元率をかけて計算する複雑な方法であるため、実施するなら不動産鑑定士などの専門業者に依頼したほうが正確な価値を判断しやすいでしょう。
DCF法について
DCF法では、不動産の所有期間中に得られる純利益に売却によって得られる利益を足し、現在の価格に割り戻すことで不動産の価値を判断します。
将来的な利益は変動する可能性があり、また売却によって得られる利益も流動的です。そのため、DCF法も個人で正確な価値を算出するのは難しく、専門業者に依頼することが一般的と考えましょう。
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※もっと詳しく知りたい方は、 「不動産鑑定の方法を分かりやすく調査|鑑定が必要な時と不要な時も」という記事もご覧ください。
不動産鑑定の流れ
実際に不動産鑑定を利用する際には、次の流れで手順を進めていきます。
- 不動産鑑定事務所を探す
- 不動産の資料を集める
- 価格の内示と評価書の発行
全体の流れを把握しておくことで、よりスムーズに不動産鑑定を利用できます。
不動産鑑定事務所を探す
まずは依頼先の不動産鑑定事務所を探し、ホームページなどから申し込みを行います。不動産鑑定の際には、最初から鑑定を依頼するわけではなく、対象となる不動産を鑑定した場合にどれくらいの費用がかかるのか見積もりを出してもらいます。
見積もりや相談だけなら無料の場合が多いためまずは無料で相談できる鑑定事務所を見つけ、複数社で比較してから依頼先を決めるとよいでしょう。
不動産鑑定の価格は厳密に決まっているわけではなく、同じ不動産でも利用先によって費用が変わることは少なくありません。そのため、複数社から見積もりをもらい、その結果を比較してから依頼したほうが、鑑定費用は抑えやすいでしょう。
不動産の資料を集める
不動産鑑定を行うには、対象となる不動産についての資料が必要です。鑑定を依頼する際には資料の提出を求められるため、事前に用意しておくとスムーズでしょう。不動産鑑定は実施から結果の表示までに時間がかかりやすいため、期間を短縮するためにも、事前準備は早めに行っておくことがおすすめです。
不動産鑑定に必要な資料
不動産鑑定を実施する際には、次の資料が必要です。
- 地番・地積がわかる書類(全部事項証明書、公図、地積測量図、実測図)
- 住宅地図またはブルーマップの写し
- 固定資産税評価証明書(固定資産税・都市計画税)
- 賃貸借契約書・覚書
- 建物竣工図・建物図面(建物がある場合)
- 管理規約・細則・建物館内規則(建物がある場合)
- 建築確認通知書・検査済証(建物がある場合)
- 売買契約書
- 重要事項説明書・物件概要書・物件パンフレット
- 土壌汚染レポート
- エンジニアリングレポート
- 耐震レポート(建物がある場合)
- アスベスト調査レポート(建物がある場合)
- 境界確定図
鑑定を行う不動産の種類によって、必要な資料は変わります。特に建物の鑑定を行う場合は、必要な資料が増えるため、この点には注意しましょう。
必要資料は事前に自身で取得が必要なものもあります。手元にない場合は鑑定事務所に相談して、取得方法やいつまでに提出すればよいのかなどを聞いておくと、鑑定までの流れがスムーズでしょう。
価格の内示と評価書の発行
必要な資料を提示し、鑑定が実施された後に、対象の不動産にどれくらいの資産価値があるのかの内示を受けます。その後鑑定評価書を不動産鑑定士が発行し、これを受け取って不動産鑑定は終了です。
不動産鑑定は10営業日かそれ以上の期間がかかることが多いため、スムーズに完了させるためには事前準備を徹底しておきましょう。
※もっと詳しく知りたい方は、「不動産鑑定を依頼するときの基礎知識|費用や注意点をおさえよう」という記事もご覧ください。
不動産鑑定に必要な費用について
不動産鑑定を行うには費用がかかり、これは高額になることも多いです。そのため、どれくらいの費用がかかるのか、事前に相場を把握しておくと、コスト管理がしやすくなります。また、工夫次第で費用の削減も可能であるため、この方法も含めて知っておきましょう。
鑑定評価額や類型によって相場が異なる
不動産鑑定にかかる費用は、対象となる不動産の鑑定評価額や類型、つまり不動産の種類によって異なります。評価額や不動産の種類による費用相場は、次の通りです。
鑑定評価額 | 更地 | 土地と建物 | マンション |
~1,000万円以下 | 20万円弱 | 25万円前後 | 30万円強 |
~5,000万円以下 | 25~30万円 | 30~50万円 | 60~70万円 |
~1億円以下 | 30~40万円 | 50~60万円 | 70~85万円 |
~2億円以下 | 50~60万円 | 60~75万円 | 85~95万円 |
また、不動産鑑定では所有権や地代も含めた鑑定が可能であり、この際の費用相場は次の通りです。
鑑定対象 | 費用の相場 |
宅地見込地の所有権 | 25~60万円程度 |
農地・林地の所有権および地代 | 35~70万円程度 |
鑑定対象の不動産が増えたり、権利関係の鑑定まで行う場合は、費用は高額になりやすいと考えましょう。鑑定費用は依頼先によっても違うため、相場を参考にして、鑑定事務所ごとの見積もりを確認すると、より適正金額を判断しやすくなります。
※もっと詳しく知りたい方は、 「不動産鑑定にかかる費用は?相場や費用を抑える方法について解説」 という記事や 「不動産鑑定の報酬の決定方法を解説|無料の査定との違いも紹介」という記事もご覧ください。
報告書や意見書あれば比較的リーズナブル
不動産鑑定は、鑑定報告書を作成してもらうと費用が高額になりますが、報告書や意見書の作成なら、コストは抑えられます。
価格調査の報告書や意見書のみの作成なら、1つの敷地に対して50,000円程度が相場です。これも鑑定事務所によって異なるため、それぞれの見積もり内容から費用を比較しておきましょう。
報告書や意見書は安価で作成してもらえますが、鑑定報告書とは違って法的な力を持ちません。そのため、使用するシーンによっては、これらが利用できないことは覚えておきましょう。
※もっと詳しく知りたい方は、「不動産鑑定の意見書は鑑定書とどう違う?費用や活用方法について解説」という記事もご覧ください。
不動産鑑定を依頼するべきかどうかの判断基準
高額な費用がかかりやすい不動産鑑定は、余計な出費を抑えるためにどのようなシーンで依頼が必要なのかを知っておくとよいでしょう。
- 公的機関や企業が関係する手続きが必要な場合
- 裁判所への提出が必要な場合
- 売却のために不動産の価格を調べたいだけの場合
これら3つのケースのうち、どの場合に必要なのかを知っておくことで、不動産鑑定を適切に利用できます。
公的機関や企業が関係する手続きが必要な場合
不動産価値についての資料を、公的な機関や企業に提出する場合は、不動産鑑定が必要です。これらに提出する書類では、法的な根拠を求められることが多いため、鑑定評価書を作成しておきましょう。
ただし、企業に提出するといっても、個人の不動産売却などで不動産会社を利用する場合には、基本的には提出は不要です。法人での不動産売買や法的な根拠を求められた場合のみ、不動産鑑定が必要と考えましょう。
裁判所への提出が必要な場合
遺産の相続や分割、財産分与など裁判所で資料の提出を求められる場合は、不動産鑑定が必要です。権利関係の調整や裁判で必要な場合は、不動産の資産価値について法的な根拠が求められます。報告書や意見書は利用できないため、必要な場合は鑑定報告書を作成しておきましょう。
売却のために不動産の価格を調べたいだけの場合
手持ちの不動産を売却する際に価格を調べたい場合は、不動産鑑定は不要です。不動産鑑定を行い、詳細な価値を知ってから売却しても問題はありませんが、コストがかかりすぎるためおすすめはできません。
数億円の取引など、高額になる場合は個人の売却でも不動産鑑定書があったほうがよいケースもありますが、一般的な不動産売却では鑑定報告書の作成は不要です。
不動産査定を無料で行うには
所有している不動産の価値を調べるには、不動産鑑定をするだけではなく、不動産査定を利用するやり方もあります。不動産査定は鑑定よりも簡易的な方法ですが、大まかな価値がわかるため、個人での売却の際などには有効でしょう。
また、無料で利用できるサービスでもあるため、費用をかけずに不動産の価値を知りたい場合にもおすすめの方法です。
不動産会社に査定を依頼する
不動産売買に対応している不動産会社なら、査定を依頼することで不動産の価格を調べてもらえます。不動産会社が提示する査定額は、3ヶ月で売却できる金額ですが、ある程度の価値は判断できます。
不動産査定は売却の仲介サービスに含まれており、基本的には無料で利用できます。不動産会社を利用して費用が発生するのは、売買契約を締結し、成功報酬の仲介手数料が発生する場合です。
査定だけなら無料で利用できるため、売却を予定しているなら、不動産会社に相談して訪問査定をしてもらうとよいでしょう。
一括査定サービスを利用する
より簡単に不動産査定を受けたいなら、一括査定サービスを利用するとよいでしょう。一括査定サービスは、ネット上で不動産の簡単な情報を入力することで査定が受けられます。
査定結果の表示も早く、データ入力の翌日か、早いと当日中に査定が受けられます。また、一度の登録で複数社からの査定結果を受け取れるため、各社からの評価を比較したい場合におすすめです。
一括査定サービスはイエウールがおすすめ
一括査定サービスなら、イエウールがおすすめです。イエウールは無料で利用でき、不動産の情報を入力すると、一度に最大6社から査定を受けられます。
査定額は不動産会社によって異なり、100万円程度の違いが出ることも少なくありません。複数社からの査定結果を比較することで、大体の相場価格がわかり、簡易的な査定でも不動産の価値を判断しやすいでしょう。
イエウールは登録している不動産会社も多く、全国1,600社以上の業者と提携しています。また、利用者からクレームの多い業者は提携を解除しているため、信頼度の高い業者を選べる点も魅力です。
査定結果で気に入った業者があるなら、その不動産会社に訪問査定を依頼することも可能であり、不動産価値を調べるだけではなく、売却までの流れがスムーズに進めやすい点もメリットです。
↑完全無料で査定依頼できます↑
不動産の状況に合わせて不動産鑑定を行おう
不動産の詳細な価値を調べる方法として不動産鑑定は有効ですが、費用が高額であるため、利用する際には注意が必要です。シーンによっては不動産鑑定が不要なこともあり、無料で利用できる不動産査定で十分なこともあります。
不動産鑑定が必要なのは、資産価値についての法的な根拠が必要な場合です。公的機関や企業への提示、あるいは遺産分割や財産分与を行うとき以外は基本的に不要であるため、シーンに合わせて利用し、不動産鑑定を賢く活用しましょう。